最近、ふとパテック フィリップのカラトラバの値段をチェックしてみて、そのあまりの変動ぶりに思わず画面を二度見してしまった、なんて経験はありませんか?
実は私もその一人です。
かつては「いつかはクラウン」ならぬ「いつかはカラトラバ」として、仕事を頑張れば手が届く究極のドレスウォッチというイメージでしたが、2026年現在は定価の大幅な改定や歴史的な円安の影響もあり、私たちを取り巻く状況は劇的に変わっています。
「なぜここまで価格が上がってしまったのか?」
「正規店で全く買えない今、並行輸入店の価格は果たして適正なのか?」といった疑問や不安を感じている方も多いはずです。
資産価値という面でも、以前とは少し違う
複雑な動きを見せているのが現状なんですよね。
この記事では、2026年の最新定価データや過去からの推移をもとに、現在の市場動向を徹底的に整理してみました。
これから購入を検討している方が、決して安くない買い物で後悔しないための、転ばぬ先の杖となれば嬉しいです。
- 2025年時点での主要モデルの最新定価と、度重なる価格改定の背景
- なぜ「頑張れば買える」エントリーモデルが消滅し、価格が高騰しているのか
- 新品定価割れも起きている中古市場の意外な実態と、今狙い目のモデル
- 正規店での購入難易度(マラソンの実情)と、並行輸入店を利用する合理的メリット
パテック フィリップ カラトラバの値段と2026年定価

まずは、皆さんが一番気になっているであろう「現在の定価」について、現実を直視するところから始めましょう。
2026年もパテック フィリップは非常に強気な価格戦略を貫いており、もはや他の高級時計ブランドとは一線を画す「雲上ブランド」としての地位を、価格面でも盤石なものにしつつあります。
ここでは最新の価格リストを紐解きながら、なぜこれほどまでに値段が上がっているのか?
その構造的な背景を深掘りしていきます。
2026年最新の定価一覧と改定詳細
2026年現在、カラトラバの主要モデルの税込定価は以下の通りです。
数年前の価格感を知っている方からすると、正直なところ「えっ、ここまで上がったの?」と少し目まいがするような数字かもしれません(笑)
| モデル名 (Ref.) | ケース素材 | 文字盤仕様 | 2026年 新定価 (税込) |
|---|---|---|---|
| カラトラバ 6119G-001 | ホワイトゴールド | 縦サテン仕上げグレー | ¥5,370,000 |
| カラトラバ 6119R-001 | ローズゴールド | グレイン仕上げシルバー | ¥5,370,000 |
| カラトラバ 5227J-001 | イエローゴールド | ラック・アイボリー | ¥6,204,000 |
| カラトラバ 5227R-001 | ローズゴールド | ラック・アイボリー | ¥6,400,000 |
| カラトラバ 5227G-010 | ホワイトゴールド | ラック・ブラック | ¥6,770,000 |
| カラトラバ 6007G-001 | ホワイトゴールド | エボニーブラック | ¥6,450,000 |
| カラトラバ 5226G-001 | ホワイトゴールド | グラデーション・ブラック | ¥6,770,000 |
この表を見て気付くのは、単に価格が高いということだけではありません。
以前はケース素材(イエロー、ローズ、ホワイト)によって数十万円単位の価格差があるのが通例でしたが、現行の主力モデルであるRef.6119においては、ホワイトゴールド(WG)とローズゴールド(RG)が同価格に設定されているのが非常に特徴的です。
また、ハンターケース(開閉式の裏蓋)を持つRef.5227などは600万円台に突入しており、シンプルな3針時計としては破格の設定と言えます。
しかし、実物を手に取ればその仕上げの凄みに圧倒されるのも事実。
パテック フィリップは、価格を上げることで「真のラグジュアリー」を追求し続けているのです。
Ref.6119Rなどの一部モデルについて、ネット上では異常な高値の情報が錯綜することもありますが、標準的な定価ラインは上記の通り500万円台です。
ジェムセット(宝石入り)などの特殊モデルと混同しないよう注意が必要です。
価格推移から見る値上がりの理由

「それにしても、なんでこんなに短期間で高くなったの?」と憤りにも似た疑問を持つ方も多いでしょう。
昨今の世界的なインフレーションの影響はもちろんありますが、パテック フィリップの場合、それだけでは説明がつかない複合的な要因が存在します。
まず最も大きな要因として挙げられるのが、ムーブメントの刷新とそれに伴う製造コストの増加です。
現行のRef.6119に搭載されている手巻きキャリバー「30-255 PS」は、単なるマイナーチェンジではありません。
ツインバレル(香箱が2つある構造)を採用することで、パワーリザーブを従来の約44時間から約65時間へと大幅に延長しています。さらに、秒針停止機能(ストップセコンド)も追加され、実用性が飛躍的に向上しました。
こうした技術的な進化には莫大な開発費と製造コストがかかっており
それが定価に転嫁されるのは、ある意味で必然と言えるでしょう。
次に、為替レートへの即応的な調整も見逃せません。
日本国内の定価はスイスフランと円のレートに強く連動しています。
特に2022年以降の急激な円安基調に対し、パテック フィリップは年に数回の価格改定を行うことで、日本だけが安くなる「内外価格差(アービトラージ)」の発生を防いでいます。
これは転売を防ぎ
ブランドのグローバルな価値を統一するための重要な戦略でもあるのです。
安いエントリーモデル消滅の衝撃
長年のファンとして個人的に最も衝撃を受け、一抹の寂しさを感じているのが
「300万円台で購入可能な紳士用カラトラバの完全な消滅」です。
ほんの数年前まで、Ref.5196やRef.5119といったモデルは300万円~400万円という価格帯でラインナップされていました。
もちろん安くはありませんが「ボーナスを貯めて」「記念の年に思い切って」という動機で手が届く範囲にあり、これらがパテック フィリップの世界への入り口(エントリー)としての役割を果たしていたのです。
しかし、現在のエントリーラインであるRef.6119でさえも
定価は530万円オーバーという設定です。
この変化は、単なる値上げ以上の意味を持っています。
つまり、パテック フィリップが「エントリー層」のハードルを意図的に引き上げたということです。
300万円と500万円では、購入できる層がガラリと変わります。
もはや「頑張れば買える」時計ではなく「選ばれた、真に経済力のある人だけが買える」という、ブランドの排他性(Exclusivity)をより強固にするポジショニング戦略の一環だと私は感じています。
現行Ref.6119の定価と評価

では、現在537万円というプライスタグを提げている現行カラトラバの顔、Ref.6119「クル・ド・パリ」について詳しく見ていきましょう。
このモデルは、パテック フィリップの伝統的な意匠である「クル・ド・パリ(ホブネイル・パターン)」ベゼルを復活させ、39mmという現代的なサイズ感で再構築した意欲作です。
実機を見ると、ベゼルのギョーシェ装飾はかつてのRef.3919などよりも幅広で立体的になっており、光を受けるとキラキラと力強く輝きます。
文字盤のインデックスも立体的で、視認性と高級感を両立しています。
しかし、市場の評価としては「定価上昇のスピードにユーザーの心理が追いついていない」という側面も否めません。モノが良いのは誰もが認めるところですが、発売当初(2021年)の300万円台後半という定価を知っている層からすると、短期間での約40%以上の値上げには抵抗感があるのも事実。
消費者の「ウィリングネス・トゥ・ペイ(支払っても良いと思う価格)」がまだ400万円台に留まっていることが、後述する中古市場での定価割れにも繋がっているのかもしれません。
廃盤Ref.5196の相場動向

現行モデルが大型化・高価格化する一方で、2022年に惜しまれつつ生産終了となったRef.5196(通称クンロク)への再評価が進んでいます。
Ref.5196は、初代カラトラバRef.96のデザインコードを最も色濃く受け継ぐモデルとして、長きにわたり愛されてきました。
特筆すべきは、その37mmという絶妙なサイズ感です。
欧米人に比べて手首が細めな私たち日本人にとって、37mmはドレスウォッチとして完璧なバランスなんですよね。
現行の39mmだと「少し大きいかな」と感じる方々が、あえて廃盤となったRef.5196を指名買いするケースが後を絶ちません。
現在の中古相場は280万円~350万円前後で推移しています。
これは最終定価とほぼ同水準か、状態の良い個体であればそれ以上のプレミア価格です。
「これ以上大きく値崩れするリスクが低い」という安心感もあり、生産終了から時間が経ち状態の良い個体が減っていくにつれて、今後も緩やかな上昇トレンドを描く可能性が高いでしょう。
もしRef.5196が気になっているなら、良個体に出会った時がまさに買い時だと言えます。
Ref.5196の中でもプラチナ素材の「5196P」は別格です。
ブレゲ数字のインデックスを採用した特別な文字盤デザインにより、中古市場では700万円を超える価格で取引されることもあります。
パテック フィリップ カラトラバの値段と中古市場の真実

さて、ここからが本題かもしれません。
正規店の定価が高騰し、購入制限もある中で、多くのユーザーにとって現実的な選択肢となるのが「中古市場(二次流通)」です。
実は今、この市場において、モデルによって
「定価以上」と「定価割れ」が二極化する非常に興味深い現象が起きています。
現行モデルが定価割れする理由
驚くべきことに、現行の主力モデルであるRef.6119などは、中古・並行市場において定価割れ(逆スプレッド)を起こしているケースが多々あります。
具体的には、定価が537万円なのに対し、並行輸入店の新品や中古美品の実勢価格は300万円台後半~480万円程度で推移しています。新品同様の個体が、正規店で買うより100万円以上も安く手に入るのです。
「人気がないから?」と不安になるかもしれませんが
私はこれを以下のような要因による「市場の健全な調整」だと考えます。
- 急激な定価上昇への抵抗感:前述の通り、短期間での大幅な定価アップに市場の相場観が追いついておらず、実勢価格が消費者の感覚に近いところに落ち着いている。
- 供給量の安定:発売から数年が経過し、初期の枯渇状態が解消されました。市場にある程度の数が流通し始めたことで、希少性によるプレミアムが剥がれ落ち、実需に基づいた価格形成に移行しました。
- 投資マネーの選別:投機的な資金は、よりリセールバリューの高い「ノーチラス」や「アクアノート」といったスポーツモデルに集中しており、純粋なドレスウォッチであるカラトラバへの流入が限定的です。
これは、転売目的ではなく「純粋に自分で使いたい」というユーザーにとっては、極めて好意的な状況です。
並行店での購入におけるコストパフォーマンスが最大化されている、まさに「買い時」と言えるでしょう。
中古で狙い目のRef.3919

もし「パテック フィリップは欲しいけれど、予算は抑えたい」と考えているなら、1980年代から2000年代にかけて製造された名作、Ref.3919が間違いなく狙い目です。
このモデルの特徴は、33mmという小ぶりなサイズと、繊細なクル・ド・パリベゼル、そしてローマ数字のインデックスです。今のトレンドである「デカ厚」時計とは対極にある、クラシックでエレガントな佇まいが魅力です。
中古相場は150万円~250万円ほど。
現行モデルが500万円を遥かに超える中で、200万円前後で「本物のパテック フィリップ」が手に入るのは、奇跡的とも言えます。
生産終了から20年近く経っても150万円以上の価値を維持しているという事実は、このモデルの普遍的な魅力を証明しています。
初めての高級時計として、あるいはスーツスタイルを格上げする一本として、自信を持っておすすめできます。
カラトラバの資産価値とリセール率
WEB検索などで「パテック フィリップは資産になる」という言葉をよく目にしますが、カラトラバに関しては、その意味を正しく理解しておく必要があります。
カラトラバの平均的なリセール率は、定価に対して70%~90%程度が一般的です。
つまり、正規店で新品を購入して即座に売却した場合、金銭的にはマイナス(損失)が発生する可能性が高いのです。
しかし、ここで視点を変えてみてください。
一般的な高級時計や宝飾時計は、購入して店を出た瞬間に価値が半減することも珍しくありません。
そんな中で、カラトラバは数十年使い続けても定価の50%~70%、モデルによってはそれ以上の価値を維持し続けます。
これは「損をしない」というよりも「最高級の時計を楽しみながら、資産の大半を保全できる」という
圧倒的な「資産防衛力」を持っていると言えます。
パテック フィリップには「永久修理」という理念があります。
どんなに古い時計でも修理を受け付けるというメーカーの姿勢(出典:パテック フィリップ公式サイト)が、中古市場における絶対的な信頼と価値の裏付けとなっているのです。

正規店の購入制限と並行店のメリット
現在、正規店(Authorized Dealer)でカラトラバ、特に人気のRef.6119などを購入するのは至難の業です。
店舗には在庫がなく、「予約」さえ受け付けてもらえないことも多々あります。
いわゆる「一見さんお断り」に近い雰囲気があり
過去の購入実績(ヒストリー)がないと、バックヤードから時計が出てくることはまずありません。
正規店では、転売防止や顧客ロイヤリティの観点から「1人1本まで」「同一コレクションの連続購入不可」といった厳格な購入制限や割り当て(アロケーション)販売が実質的に行われています。
欲しいモデルを買うために、在庫のある別のモデルを買って「実績」を作る…
なんていう話もよく耳にしますよね?
そう考えると、今の状況下では並行店や中古店を利用する合理性は非常に高いと言わざるを得ません。
- 実績作りが不要:欲しくもない時計を買う「抱き合わせコスト」を払う必要がありません。
- 即納性:何年も待つ必要がなく、在庫があればその場で購入し、その日から腕に巻くことができます。
- 価格メリット:前述の通り、現行モデルなら定価以下で買える可能性があり、総支出を抑えられます。
並行店で購入する唯一のデメリットは、パテック フィリップの顧客名簿に「ファーストオーナー」として登録されないことですが、メンテナンスを受ける権利(アーカイブ)は個体に紐付くため、メーカーでの修理サービスを受ける上で差別されることはありません。
実用重視なら、並行店は賢い選択肢なのです。
パテック フィリップ カラトラバの値段と将来性まとめ
最後に、これまでのパテック フィリップ カラトラバの値段動向と、今後の付き合い方についてまとめます。
- 2025年の定価は500万円を超え、300万円台のエントリーモデルという概念は完全に消滅しました。
- 現行モデル(Ref.6119等)は中古市場で定価割れを起こしており、実勢価格で見ればかなりお買い得な状況です。
- Ref.5196やRef.3919など、廃盤となった名作モデルの評価・相場は非常に底堅く、安定しています。
- 資産価値については「高騰」を期待するのではなく、長期的な「価値保全」として捉えるのが健全です。
値段だけを見ると、確かにカラトラバは「高嶺の花」になってしまった感は否めません。
しかし、視野を中古市場や廃盤モデルまで広げれば、まだ適正価格、あるいは割安な価格で最高峰の時計を手に入れるチャンスは十分に広がっています。
その時計が持つ歴史的背景、職人の技術、そして何より「自分の腕に巻いた時の高揚感」に価値を感じられるかどうかです。
ぜひ、ご自身のライフスタイルと価値観に合った
一生を共にできる一本をじっくりと探してみてください。


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