高級時計の世界に足を踏み入れると、最終的に行き着く答えの一つがパテック フィリップではないでしょうか。
なかでも、独特の存在感を放つパテック フィリップ ゴールデン エリプスは、円でも長方形でもない不思議な魅力を持ったモデルですね。
最近、ノーチラスやアクアノートといったスポーツモデルの人気が落ち着きを見せる中で、このエリプスの資産価値や中古相場がじわじわと上がっているのをご存知でしょうか?

私自身、時計を単なる道具ではなく資産として捉えていますが、エリプスほど知性を感じさせる腕時計は他にないなと感じています。
一方で、3738と5738のサイズ感の違いや、なぜこれほどまでに高い評価を受けているのか?
本当の理由が気になっている方も多いはずです。
この記事では、黄金比に基づいたデザインの秘密から、気になる最新の定価や価格推移、そして後悔しないための選び方まで、私が調べた情報を丁寧にお伝えしていきます。
中古市場での狙い目なども含め、あなたの時計選びの参考になれば嬉しいです。
- パテック フィリップ ゴールデン エリプスが持つ黄金比デザインの歴史的背景
- 極薄ムーブメントCal.240が可能にした驚異的な薄さと技術力の詳細
- Ref.3738とRef.5738の具体的なサイズの違いと選び方のポイント
- 近年の市場で価格が急騰している背景と将来的な資産価値の展望
パテックフィリップのゴールデンエリプス:歴史
パテック フィリップ ゴールデン エリプスが歩んできた道のりは、まさに美学の探求そのものです。
1968年の登場以来、どのようにしてこの唯一無二の形が守られてきたのか、その背景にある物語を紐解いていきましょう。
黄金比が生み出した究極の楕円形デザイン

エリプスの最大の特徴といえば、なんといってもその唯一無二のフォルムですよね。
この形は、偶然産まれたものではなく、古代ギリシャの時代から「神聖なるプロポーション」として崇められてきた「黄金比(Golden Ratio)」に基づいて厳密に設計されています。
数値で言うと「1:1.618」。
この比率は、人間が視覚的に最も安定し、本能的に「美しい」と感じる魔法の数字なんです。
パテック フィリップは、1960年代後半という激動の時代に、この普遍的な調和を腕時計のケースデザインに持ち込むという大胆な試みを行いました。
黄金比は、自然界ではひまわりの種の並びやオウムガイの螺旋、芸術の世界ではパルテノン神殿やレオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」にも見られます。
エリプスを腕に乗せたときに感じる「言葉にできないしっくり感」は
まさに人類が数千年にわたって追求してきた数学的な正解がそこにあるからだと言えるでしょう。
時計のデザインは時代とともに流行が移り変わりますが、数学的な真理に基づいたエリプスのプロポーションは、50年以上経った今でも全く古びることがありません。
これこそが、エリプスが「トレンドを超越した存在」と言われる所以ですね。
私たちが日々目にするスマートフォンの画面比率や名刺のサイズも、実はこの黄金比に近いものが多く、私たちの生活に深く根付いた「安心感のある形」なのです。
黄金比がもたらす視覚的メリット
通常の円形時計(ラウンドケース)は完璧な対称性を持ちますが、エリプスのような楕円形は、縦と横の比率に変化があるため、視線が自然に誘導されます。
黄金比に基づいたケースは、手首のラインに沿うように配置されることで、腕元を細く、よりエレガントに見せる効果もあります。ドレスウォッチとしてこれほどまでに洗練された選択肢は、他に類を見ないのではないでしょうか?
1968年の誕生とルベリによる設計の妙
この革新的なデザインを世に送り出したのは、当時のパテック フィリップで創作部門(R&D)を率いていたジャン=ダニエル・ルベリ(Jean-Daniel Rubeli)です。
彼は単に「楕円形の時計を作ろう」と考えたわけではありませんでした。
彼が目指したのは、円の完璧さと長方形の力強さを融合させた、全く新しいドレスウォッチの在り方だったのです。
ルベリの功績は、それまで「オーバル(Oval)」と呼ばれていた不確かな楕円の概念を、厳密な幾何学に基づく「エリプス(Ellipse)」へと昇華させたことにあります。
あの伝説的な時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタもルベリのこの仕事を高く評価しており、エリプスがいかに計算し尽くされた傑作であるかを認めていました。
ストラップがケースの中から直接生えているかのようなこのデザインは、時計を単なる時刻計測の道具から、手首を彩る純粋な「彫刻作品」や「ジュエリー」へと進化させました。
この時代、多くのブランドが奇抜なデザインを競い合っていましたが、パテック フィリップはあえて「古典的な数学」に回帰することで、最もモダンな回答を出したわけです。
私たちが今、ヴィンテージのエリプスを見ても「今っぽさ」を感じるのは、ルベリが設計したラインが本質的な美しさを突いているからに他なりません。
- ラグをケースバックに隠すことで、ケースの純粋なラインを強調
- 文字盤のインデックスを最小限に抑え、余白の美を追求
- ケースと一体化するような繊細なチェーンブレスレットの開発
伝統の18Kブルーゴールド文字盤が放つ輝き

ゴールデン エリプスを象徴するもう一つの要素が、あの深みのある青色、通称「ブルーゴールド」ダイアルです。
初めて実物を見たとき、私はその色の深さに驚きました。
単に青いペンキを塗ったような色ではなく、金属そのものが内側から発光しているような、不思議な輝きを放っているんです。実はこれ、18金(K18)の文字盤プレートに特別な化学処理を施すことで生み出されています。
パテック フィリップは、文字盤製造の名門であるシンガー(Singer)社と協力し、18金ダイアルの表面にコバルトと純金を真空中で蒸着させる技術を開発しました。
これは現代のPVD(物理蒸着)加工の先駆けとも言える
当時としては極めて先進的な技法です。
金属の表面に形成された薄い膜が光と干渉し合うことで、あの独特のミッドナイトブルーが生まれます。
角度を変えるたびに、鮮やかなアジュールから黒に近いディープブルー、時には紫がかった色調へと変化する様子は、まさに「錬金術」の賜物ですね。
さらに、多くのモデルではダイアル表面に中心から放射状に広がる「サンバースト(ソレイユ)」仕上げが施されています。この細かい筋目に光が走ることで、ブルーゴールドの輝きがより立体的になり、高級感を一層引き立てています。
このダイアルはパテック フィリップが「18Kブルーゴールド」と定義しており、その美しさは経年変化にも強く、数十年経った個体でもその神秘的な輝きを保ち続けています。
これこそ、エリプスが「黄金」の名を冠するに相応しい理由の一つなのです。
ブルーゴールド文字盤は、製造時期やロットによって微妙に色合いが異なります。
ヴィンテージ市場では、少し紫がかった「パープルブルー」に変色した個体が希少価値を持つこともあり、コレクターたちの探究心をくすぐるポイントになっています。
極薄自動巻きキャリバー240の技術的革新

エリプスのエレガンスを技術面で支えているのが
パテック フィリップ自慢の極薄自動巻きムーブメント「キャリバー 240(Cal.240)」です。
ドレスウォッチにおいて「薄さ」は絶対的な正義ですが、自動巻きで薄さを実現するのは至難の業。通常、自動巻きはローター(回転錘)がムーブメントの上に乗るため、どうしても厚みが出てしまいます。
しかし、パテック フィリップはこの難題を
ローターをムーブメントの地板に埋め込む「マイクロローター」という手法で解決しました。
1977年に発表されたこのCal.240は、ムーブメント全体の厚さがわずか2.53mmしかありません。
これは一般的な手巻きムーブメントよりも薄い数値です。
マイクロローターは直径が小さいため、巻き上げ効率が落ちやすいという欠点がありますが、パテックはここに比重の極めて重い「22金(22K)無垢」のローターを採用することで、十分な慣性モーメントを確保し、実用的な巻き上げ性能を実現しました。
この技術革新により、エリプスは自動巻きの利便性を持ちながら、シャツの袖口にスッと収まる究極の薄型ケース(Ref.5738で厚さ5.9mm)を維持できるようになったのです。
このムーブメントには、パテック フィリップの特許技術である「ジャイロマックス(Gyromax)」テンプも搭載されており、薄型ながらも高い精度と耐久性を誇ります。
誕生から約半世紀が経った今でも、基本構造を変えずに現行モデルの心臓部として採用され続けている事実は、このキャリバーがいかに完成された「傑作」であるかを物語っていますよね。
時計愛好家がエリプスを高く評価するのは
この外見の美しさと中身の技術力の完璧なマリアージュがあるからに他なりません。
| 項目 | 詳細スペック |
|---|---|
| ムーブメント厚 | 2.53 mm |
| ムーブメント直径 | 27.5 mm |
| ローター素材 | 22金(22K)偏心マイクロローター |
| 振動数 | 21,600振動/時 (3 Hz) |
| 部品総数 | 161個 |
| 認定 | パテック フィリップ・シール |
(出典:パテック フィリップ公式)
歴史を彩る歴代リファレンスの変遷と特徴
ゴールデン エリプスの歴史は、時代ごとのファッショントレンドを映し出す鏡のようでもあります。
1968年の初代モデルRef.3548は、27mm × 32mmという、今見れば非常に小ぶりなサイズでした。
しかし、この凝縮されたサイズ感こそが、当時の貴族やセレブリティたちが求めた「控えめなエレガンス」だったのです。
1970年代に入ると、少しずつ時計の大型化が進み、1971年には自動巻きCal.28-255Cを搭載した「ジャンボ」モデル、Ref.3605が登場します。
これはデイト表示も備えており
実用性を重視した稀有なエリプスとして今ではコレクターズアイテムになっています。
そして、エリプスの黄金時代を決定づけたのが、1977年に登場したRef.3738です。
約30年もの長きにわたって生産されたこのモデルは、31.1mm × 35.6mmという絶妙なサイズ感で、多くの時計ファンの「理想のドレスウォッチ」となりました。
Ref.3738は、初期のイエローゴールドだけでなく、ホワイトゴールドやローズゴールド、さらにはプラチナなど、多彩な素材と文字盤の組み合わせで展開されました。
2008年、エリプス誕生40周年を機に発表されたのが現行のRef.5738です。「グラン・タイユ(大型)」と呼ばれるこのモデルは、34.5mm × 39.5mmまでサイズアップされ、現代の男性の腕にふさわしい存在感を獲得しました。
しかし、ただ大きくするだけでなく、厚みを5.9mmに抑えることで、エリプス本来の「薄さの美学」はしっかりと守られています。最近では2024年にチェーンブレスレットモデルが復活するなど、エリプスは常に「古くて新しい」驚きを私たちに提供し続けてくれています。
代表的なリファレンスまとめ
- Ref.3548 (1968年~): 伝説の始まり。手巻きCal.23-300搭載。小ぶりな隠しラグ仕様。
- Ref.3738 (1977年~2009年): 最も有名な中核モデル。Cal.240搭載。ドレスウォッチの完成形。
- Ref.5738 (2008年~現在): 現行グラン・タイユ。プラチナやローズゴールドで展開される最高峰。
- Ref.3770 (1980年代): 通称「ノーチリプス」。ノーチラスの耳とエリプスの顔を持つ異色作。
パテックフィリップのゴールデンエリプス:価値
ここからは、多くの人が最も気になっているであろう「価値」についてお話しします。最近のパテック フィリップ人気は凄まじいものがありますが、エリプスの市場はどう動いているのでしょうか。
中古市場で注目されるRef.3738の相場感
今、高級時計の投資家やコレクターの間で、最も「化ける」可能性を秘めていると囁かれているのが、一世代前のRef.3738です。
かつてはパテックの中でも知る人ぞ知る玄人好みのモデルでしたが、近年のドレスウォッチ再評価の流れに乗って、その相場が驚くほど上昇しています。
私自身、数年前の相場を知っているだけに、最近の値動きには目を見張るものがあります。
具体的な数字を見てみましょう。
例えば、肌馴染みの良いローズゴールドモデル「Ref.3738/100R-001」の場合、2023年の秋頃までは中古で240万円前後で取引されることもありました。
しかし、2024年に入ると一気に300万円台後半へ、そして2025年の最新データでは400万円を超える個体も珍しくありません。わずか1年半ほどの間に、1.5倍以上の価値になっている計算です。
また、エリプスは「貴金属(ゴールドまたはプラチナ)のみ」で製造されているため、地金そのものの価値が下支えになっているのも強みです。
ステンレスモデルが存在しないという排他性が、ブランドとしての格をさらに高めています。
中古市場では、付属品(箱や保証書)が揃っていることはもちろん、ダイアルのコンディションが非常に重要視されます。特にブルーゴールドの文字盤は、傷や色褪せがないものが高く評価される傾向にありますね。
これから3738を狙うなら、多少高値でも「バリ物(極上品)」を選んでおくのが、将来的なリセールを考えても賢い選択かもしれません。
| 調査時期 | 平均相場 (税込) | 市場トレンド |
|---|---|---|
| 2023年9月 | 約 242万円 | 安定期 |
| 2024年11月 | 約 379万円 | 急上昇 |
| 2025年3月 | 約 408万円 | 高値圏で推移 |
現行モデルRef.5738の定価と高い資産価値
現行モデルであるRef.5738は、パテック フィリップというピラミッドの頂点に近いステータスを象徴する時計です。
まず知っておくべきは、その「定価」の高さと上昇率です。
ローズゴールドのRef.5738R-001は、2025年現在、参考定価で600万円を大きく超える水準となっており、プラチナモデルのRef.5738P-001に至っては940万円以上、つまり1000万円に迫る勢いです。
これだけの価格設定ができるのは、パテック フィリップというブランドへの絶対的な信頼と
エリプスというモデルが持つ唯一無二の希少性があるからですね。
資産価値という観点で見ると、エリプスは「安定感」が非常に高いのが特徴です。
ノーチラスのように定価の数倍という異常なプレミアがつくわけではありませんが、その分、バブルのような急落のリスクも低いと言えます。
パテック フィリップは生産数を厳格に管理しており、エリプスのような手間のかかるモデルは市場に出回る数も限られています。そのため、定価が上がれば中古相場もスライドするように確実に切り上がっていきます。
これはまさに「堅実な資産」と呼ぶにふさわしい動きです。
さらに、現行モデルは2008年から続くロングセラーですが、細かなバリエーションの追加こそあれ、デザインの根本は変わっていません。
これは「いつ買っても最新であり、いつ買ってもクラシックである」ということを意味します。
購入した翌日に型遅れになる心配がないというのは、高額な時計を資産として持つ上で、精神的な大きなメリットになりますよね。
富裕層が「最後の時計」としてエリプスを選ぶのは
こうした普遍的な価値を理解しているからではないでしょうか。
パテック フィリップの公式サイトでは、最新のリファレンスや現行モデルのラインナップを確認できます。
定価は改定されることが多いため、購入を検討される際はこまめにチェックすることをお勧めします。
また、正規店での購入は現在非常に難易度が高く、ウェイティングリストに入ることすら困難な場合が多いのが現状です。
3738と5738のサイズ感や着用感の違い

エリプスを検討する際、誰もが直面するのが「3738と5738、どちらのサイズが自分に合うか?」という問題です。
カタログスペック上の数ミリの差ですが、実際に腕に乗せてみると、その印象の違いは驚くほど大きいんです。
多くのオーナーさんの声をまとめると
それぞれのモデルには明確な「キャラクター」があります。
まず、クラシック・ジャンボと呼ばれるRef.3738(31.1mm × 35.6mm)。
こちらは、往年のパテック フィリップが大切にしてきた「究極の控えめさ」を体現しています。
手首が細めの方(16cm以下)が着けると、黄金比の美しさが手首の中に完璧に収まり、シャツの袖口にスッと隠れる奥ゆかしさがあります。時計が主張しすぎず、着けている本人の品格をそっと押し上げてくれるような、まさに「紳士の道具」という佇まいです。
フォーマルな場での使用がメインなら、コチラをおすすめします。
対して、現行のグラン・タイユRef.5738(34.5mm × 39.5mm)。
こちらは一回り大きく、現代の高級時計らしい「華やかさ」と「存在感」があります。
手首が太めの方や、普段40mm前後のスポーツモデルに慣れている方でも、違和感なく着けられるサイズ感です。大きくなった分、ブルーゴールドやエボニーブラックの文字盤の面積も広がり、その美しさをよりダイレクトに堪能できるのが魅力ですね。
タキシードはもちろん、上質なニットやジャケパンスタイルに合わせても、程よいアクセントになってくれます。
今の時代の空気感を反映しているのは、間違いなく5738の方でしょう。
サイズ選びのチェックポイント
- 手首周り 15cm~16.5cm: 3738は「完璧な調和」、5738は「モダンな存在感」
- 手首周り 17cm以上: 3738は「ヴィンテージな趣」、5738は「ベストバランス」
- 用途: 冠婚葬祭やドレスコード重視なら3738、日常のラグジュアリーを楽しみたいなら5738
投資価値を見極める値上がり期待と市場評価
「パテック フィリップ ゴールデン エリプスは、これからもっと上がるのか?」という問いに対し、私は非常にポジティブな見解を持っています。
これまでは「パテック=ノーチラス」という一極集中のような状態でしたが、その熱狂が少し落ち着きを見せ、より歴史があり、ブランドの真髄を感じさせるドレスウォッチへ資金が流れ始めています。
エリプスは、カルティエのタンクやジャガー・ルクルトのレベルソといった「角形・変形時計の傑作」の中でも、最高峰の格付けをされています。
しかも、パテック フィリップの現行コレクションの中で、ノーチラスよりも歴史が長いのはエリプスだけ。
この事実はブランドの歴史を重んじるコレクターにとって非常に強力なアピールポイントになります。
最近では、海外の有名アーティストやファッションアイコンがヴィンテージのエリプスを敢えてラフに着こなす姿も見られ、若年層の富裕層の間でも「最高にクールな時計」として認知が広がっています。
ただし、投資目的で選ぶなら「状態」と「オリジナリティ」が全てです。
文字盤に傷やシミがないか、ケースが過剰に磨かれて痩せていないか、そしてパテック フィリップ発行のアーカイブ(抄本)が取得可能か。
これらの条件を満たす個体は、今後ますます希少になり、価値が上がっていくことは想像に難くありません。
もちろん、相場には波がありますので、短期間での利益を狙うのではなく、10年、20年と持ち続けることで、結果として大きな資産になっていた、というスタンスがエリプスには似合っている気がしますね。
- 「ラグスポ」ブームから「クラシック回帰」へのトレンド変化
- ゴールド価格の上昇に伴う、貴金属モデルの価値底上げ
- ヴィンテージ・パテック全体の世界的需要の拡大
維持に必要なオーバーホールや保守の注意点

さて、手に入れた後の「維持」についても触れておかなければなりません。
パテック フィリップを所有することは、ある意味で「文化遺産の守護者」になるようなものです。
エリプスに搭載されているCal.240は極めて優秀なムーブメントですが、その薄さゆえに、非常に繊細なパーツで構成されています。正規のオーバーホール(分解掃除)は、3年から5年に一度、遅くとも8年以内には受けることが推奨されています。
費用については、正規サービスセンターに出した場合、基本技術料だけで15万円~20万円程度、パーツ交換を含めるとさらに加算されるケースが多いです。
「ちょっと高いな」と感じるかもしれませんが、これには理由があります。
パテック フィリップは「1839年の創業以来に製造されたすべての自社時計を修理する」と宣言しており
熟練の職人が一点一点、気の遠くなるような手間をかけて調整を行うからです。
正規のオーバーホールを受けたという履歴(修理証明書)自体が、将来その時計を売却する際の強力な「鑑定書」となり、査定額を大きく跳ね上げる要因にもなります。
また、注意したいのが「外装仕上げ(ポリッシュ)」です。
エリプスの美しさは、黄金比に基づく完璧なケースラインにあります。安易に町の修理店で何度も磨いてしまうと、ケースの角が丸まり、本来のシャープなフォルムが失われてしまいます。
一度失われたラインは二度と戻りません。
パテックの正規修理では、必要最小限の研磨で最大限の美しさを引き出す「ライトポリッシュ」という選択も可能ですので、美しさと資産価値を両立させたいなら、正規ルートでのメンテナンスを強くお勧めします。
現行モデルのRef.5738は3気圧防水(日常生活防水)を備えていますが、これはあくまで「手洗いの際の水しぶき」程度に耐えられるものです。
エリプスは気密性を重視したスポーツウォッチではありません。
特にヴィンテージモデルはパッキンの劣化により非防水に近い状態のものも多いため、湿気の多い場所や雨の日、夏場の汗ばむ時期の着用には十分注意してください。
水没による修理費用は、オーバーホールの比ではないほど高額になる可能性があります。
至高のパテック フィリップ ゴールデン エリプス

ここまで、パテック フィリップ ゴールデン エリプスの深い歴史から、気になる最新の資産価値まで、私の持てる知識を余すことなくお伝えしてきました。
エリプスという時計は、単に時間を知るための道具ではありません。
それは、古代から続く数学的真理「黄金比」を腕に纏い、パテック フィリップという世界最高峰のメゾンの誇りを共有するということです。
10年後、20年後、あるいは次の世代に引き継いだとき、この時計は今と変わらぬ輝きを放ち、むしろその価値をさらに高めていることでしょう。それは、黄金比という正解が時代が変わっても「正解」であり続けるからです。
もしあなたが、ノーチラスのような派手さよりも、静謐で知的なラグジュアリーを求めているのであれば、ゴールデン エリプスは間違いなく「上がり」の一本になります。
ブルーゴールドの文字盤が放つ深淵な青色を眺めながら、贅沢な時間を過ごす。そんな体験は、他のどの時計でも味わえない特別なものです。
あなたの人生のパートナーとして、この至高の楕円形が選ばれることを願っています。
まずは、信頼できるショップで実物を一度、その目で確かめてみてください。
きっと、その瞬間にエリプスの魔法にかかってしまうはずですから・・・
※本記事に記載されている価格情報、スペック、市場分析は2026年時点の公開情報および個人の調査に基づくものです。時計の相場は為替や世界情勢により常に変動いたします。
正確な定価や仕様については、必ずパテック フィリップ公式サイトにてご確認ください。また、購入や投資に関する最終的な判断は、信頼できる専門家にご相談の上、ご自身の責任で行っていただきますようお願い申し上げます。


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